「東京裁判」読了。
第30回サントリー学芸賞受賞作。
“たいていの東京裁判論に見られる「悲憤慷慨」や「道徳的判断」をなるべく排除するよう努め”た結果、一大プロジェクトを題材にしたドキュメンタリー番組のような感触の本になっている。
一方、その感触とは別にこの本全体から立ち上ってくるのは、戦争を司法の場で取り扱うことの“茶番感”である。他のジャンルにも増して歴史・法律・政治には疎いのだが、戦争を裁判所で裁けるのなら(そしてその判断を当事者が受け入れられるのなら)、戦争の原因である国家間の利害対立をこそ裁判で解決すればいいのではなかろうか。