「妖精作戦 (創元SF文庫)」読了。
以前、今は亡きソノラマ文庫に収められていた作品の再版。オリジナル版が発売されたのは1984年。なんと28年前である。28年間、なんとなく気になりながら読んでいなかったものを今になって読むというのも感慨深い。
高校生が主人公の割りに携帯電話がまったく登場しないなど、気にし始めると時代背景の差が気になってくるが、そこは勢い重視ということで。
「ザ・万遊記 (集英社文庫)」読了。
「鹿男あをによし」や「鴨川ホルモー」、「プリンセス・トヨトミ」などで知られる万城目学のエッセイ集…なのだが、なんとなくしまらない、ユルい雰囲気が漂う。肩の力が程よく抜けて、なぜかこれはこれでいいのではないか、と思わせる。
「恋文の技術 (ポプラ文庫)」読了。
実用書ではなく小説なので、これを読んだからといって技術が向上するものではないし、いまさら恋文の技術を向上させてどうするのだという議論もある。本書は主人公の書いた手紙を集めた、という形式の書簡体小説で、つまり相手がどういう返事を寄越したかはわからないのだが、丁々発止のやり取りがなんとなく浮かんでくるように工夫されている。そして最後のクライマックスも記述されずじまいなのだが、やけにほほえましくて、さわやかな読後感が残る。
「はじめての課長の教科書」読了。
生きている限り、勉強が「遅きに失する」ことはない。
何かを学べば、学んだ事柄はそれ以降の人生に何らかの影響を与える。それが良い影響であるかどうか、特定の締め切りに間に合うかどうかなんて、問題ではない。
何かを学ぶことはつまり、それ以降も人生を続けることを前提にした営みだということになる。
学ぶことは生きること。
…でも、明日死ぬことがわかっていても、やっぱり本は読みそうな気がするな。何でだろう。
「天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)」読了。
巻末の年表・登場人物一覧が実に役立つ。こういう時代を行き来するタイプの大長編は、後で時代順に読み返したくなる。
「ソーシャルメディア炎上事件簿」読了。
読んでおかなければと思っていた本。
2011年8月の発売で、当時最新の事例を中心に取り扱っているのだが、ずいぶん昔のように感じてしまう。「あーあったなーそんなこと、え、これ去年の話だったっけ?」というのが正直な感想。それだけこの手の炎上事件が毎日数多く発生しているということなのかもしれない。
「聖女の救済 (文春文庫)」読了。
さすがにそんな長期的視野で臨むやつはいないだろう、というオチだったが、読んでるとそれもアリかと思わされてしまう。推理小説というより何か緻密な世界観のファンタジーのような読後感。