「磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ」読了。
大学生だったころ、新宿で飲んだあと、酔った勢いで当時建設中だった都庁をちょくちょく見物した。深夜の新宿の空にそびえる真っ暗な高層ビルは、現代のバベルの塔といった雰囲気を漂わせていた。
さて、その都庁があのデザインに決まるにあたってのコンペを、敗者の側から描いたこの作品、第30回サントリー学芸賞受賞作である。門外漢には決して覗くことのできないコンペというものの内情を垣間見せてくれる点で貴重といっていいだろう。これが学術書かといわれるとちょっと困るが。
それにしても、建築家という人種がこんなに芸術家肌だとは知らなかった。というか、建物を建てるということにこんなにたくさん薀蓄が必要だとは知らなかった。なんだよ錯綜体って。いいんだけどさ。