埼玉県某市に住んでいたころ、保育園の入園資格に納得しかねて役所に問い合わせたことがある。説明では「保育に欠ける状況の高い順」に入園資格を得ていくのはともかくとして、保育状況が同等の場合、親が支払った前年度の所得税額が少ない方が優先されるという。
子どもを一人預かることに対してどの程度の費用がかかるかは知らないが、保育園で面倒を見てもらえないと、親のどちらかは家にいて子どもを見ていなければならなくなる。働きに出れば一人前の収入(=自治体から見れば税収)を稼ぎ出す働き手が子どもに縛られてしまうというのは、納税者、行政双方にとって不幸なことなのではないかと思う。結局、われわれは都内に引っ越してしまったのだが、その点についてはいまだに納得できていない。
スイスのある州では「金持ち優遇税制」を導入するそうだ。不公平、という意見はあるだろう。某市では決して導入されることのない考え方だとも思う。
しかし「一生懸命働いて、たいした額ではないにせよ税金を納めて、その税額が多いから行政のサービスが受けられなくて、結果的に働くことができなくなる」というのは公平なのだろうか。
別に優遇してくれとは言わない(えらそうな顔ができるほどは税金も納めていない)ので、せめて働く能力・意欲のある納税者から働く機会を奪うのはやめてほしいものだ。
で、トラックバック先の渋谷区議会議員・鈴木けんぽう活動日記は、スイスの「金持ち優遇税制」の件だけではなく、「あっち側の事情」全般を身近な目線から紹介しています。(私は書いている本人をたまたま知っていることもあり)興味深く読んでいます。